ChatGPTと共に夏の俳句を詠む : 涼し部屋 機械の頭脳と 季の一句

ChatGPTと夏を感じてみよう

今年の夏は猛暑といっていい気温が続いています。あまり梅雨という感じがしないまま夏に突入して以来、連日気温が30度を超える日が多いです。日が落ちてからもですら蒸し暑いような日が続いています。

今回は家で涼みながら、AIと俳句を詠んで季節を感じたいと思います。

俳句を詠み始める前に

俳句の原則の確認

まずは俳句の原則を確認しておきましょう。

  • 季節を表す言葉「季語」を含める
  • 五・七・五の17音

自由律などの形もありますが、今回は代表的なこの原則を基準として考えることにします。

予想

今までChatGPTやその他LLMを利用した経験から、生成した俳句は以下のようになるのではないかと予想します。

  • 575のリズムを守れないのではないだろうか。(文字数の制限が苦手なため)
  • 普遍的な俳句になりそう。
  • 季語が入らないのではないか。
  • 韻を踏めないのではないか。

では、実際にChatGPTに俳句を詠んでもらいましょう。


実践

前提

  • 使用モデル:ChatGPT 4o
  • 備考:読みやすさのため、生成結果の改行と空白を一部整形して記載しています。

①ChatGPTが詠む俳句(詳細な指示なし)

結果

入力

俳句を詠んで

出力(ChatGPT)

もちろん、こちらはいかがでしょうか:

夏の風 青葉揺らして 蝉の声
(なつのかぜ あおばゆらして せみのこえ)

考察

  • 575のリズムを守れないのではないだろうか。
    → 守れている。
  • 普遍的な俳句になりそう。
    → 普遍的である。
  • 季語が入らなそう。
    → 季語は入っているが、「夏」と「青葉」、「蝉」という3つの季語が入ってしまっており、あまりよくない。(注意:俳句では、季語の重複はタブーではないが、目的がない場合よくないとされている)
  • 韻を踏めないのではないか。
    → それぞれの句の最後が’e’の発音で終わっており、韻を踏むことができている。

感想

今まで文章生成時に文字数制限を順守させることが難しかったので、今回は575の音で構成された文章が俳句が生成できて意外に感じた。しかし、俳句という特性上、俳句という言葉から予測される言葉に実際の俳句を構成して言葉が多くなり、文字数の制限が守られやすくなったのではないかと思う。

①-2ChatGPTが詠む俳句(詳細な指示なし)

一つの俳句だけでは偶然ということもあるかと思うので、①の俳句を詠んだチャットのまま、追加でいくつか俳句を詠んでもらいました。

結果

入力

あと5つほど詠んでください

出力(ChatGPT)

もちろんです。5つの俳句を詠みます:

1. 春の夜  桜の香り  夢に舞う
(はるのよ  さくらのかおり  ゆめにまう)

2. 秋深し  紅葉の絨毯  道しるべ
(あきふかし  もみじのじゅうたん  みちしるべ)

3. 冬の朝  白銀の世界  静寂に
(ふゆのあさ  はくぎんのせかい  しじまに)

4. 夏の海  波音響く  夕涼み
(なつのうみ  なみおとひびく  ゆうすずみ)

5. 新緑の  山路を登る  鳥の声
(しんりょくの  やまじをのぼる  とりのこえ)

考察

  • 575のリズムを守れないのではないだろうか。
    → おおむね守れているが、一部字足らず、字余りの箇所がある
  • 普遍的な俳句になりそう。
    → 普遍的である。
  • 季語が入らなそう。
    → 季語は入っているが、重複して用いられることが多い。
  • 韻を踏めないのではないか。
    → 韻を踏めている部分もあるが、少ない。

感想

一部字余り字足らずがあるとはいえ、大きく文字数がずれることなく生成されて驚きました。

しかし、季語の使い方など不自然に感じる部分があります。これは、俳句は基本的に季語を含むため、文章生成時に季語が予測に多く含まれてしまい、結果的に出力にも季語が多くなってしまうのではないかと考えました。

②ChatGPTが詠む俳句(詳細な指示あり)

今度は具体的に「俳句とは何か」という原則などをChatGPTに入力してから詠んでもらいます。

先ほどは特に季節の指定もしていなかったので、今回は夏の俳句を指定して詠んでもらいます。

結果

入力

夏の俳句を詠んでください。

### 俳句の原則
以下の俳句の原則を順守すること。
#### **5-7-5の音節構成**:
  - 俳句は基本的に5音節、7音節、5音節の計17音節で構成される。
  - 字余り、字足らずは今回は禁止。
#### **季語の使用**:
  - 季節を表す言葉(季語)を必ず含める。
  - 今回は1つの句につき1つまでを必ず含める。
#### **切れ字:**
  - 俳句のリズムや意味を強調するために使われる切れ字(や、けり、かななど)を用いることもできる。

### よい俳句にするためのポイント
#### **自然の描写**:
  - 自然の美しさや季節の変化を具体的に描写することで、読者に鮮明なイメージを伝えることができる。
#### **シンプルさと深さ**:
  - 言葉は少なく、シンプルでありながら、深い意味や感情を含むように心がける。
#### **感情の共感**:
  - 読者が共感できる感情や経験を詩に込めることで、共感を呼び起こす。
#### **視覚的要素**:
  - 具体的で視覚的な要素を含めることで、句の内容を鮮やかに描写する。
#### **意外性**:
  - 最後の部分に意外な展開や結論を持たせることで、読者に驚きや感動を与えることができる。
#### **音の美しさ**:
  - 言葉の音の響きやリズムを大切にし、音の美しさにも気を配る。
  - **押韻** :
    押韻は、詩の中で特定の音を繰り返す技法です。俳句でも適切に押韻を用いることで、音の響きを美しく整えることができる。

出力(ChatGPT)

蝉しぐれ 木陰の風は 涼やかに

入力

あと5句詠んでください

出力(ChatGPT)

夏祭り  灯籠揺れて  夜涼し  

青空に  ひまわり背伸び  夏の声  

浜辺には  貝殻集め  子らの声  

涼風や  窓辺に揺れる  風鈴の  

かき氷  色とりどりの 夏の味  

考察

  • 575のリズムを守れないのではないだろうか。
    → 守れている。
  • 普遍的な俳句になりそう。
    → 普遍的である。
  • 季語が入らなそう。
    → 季語は入っているが、重複する季語が多い。
  • 韻を踏めないのではないか。
    → 韻を踏めている部分もあるが、少ない。

感想

文字数の制限について言及したためかこれは守られている。

しかし、季語の制限については、ほとんどの俳句に季語が2つ以上含まれており、制限を課すことが難しい。

③ChatGPTが詠む俳句(エピソードの創作、詳細な指示あり)

夏休みのエピソードを創作してもらい、そのエピソードをもとに②の指示と同様の指示をして俳句を詠んでもらいました。

結果

入力

夏休みの思い出に残るエピソードを創作してください。

出力(ChatGPT)

### 夏の秘密基地

暑い夏のある日、私は友達のタケルと一緒に近くの森に冒険に出かけました。私たちは毎年、この森で新しい秘密基地を作ることを楽しみにしていました。今年も例外ではなく、新しい場所を見つけるためにワクワクしながら森の奥へと進んでいきました。

歩いているうちに、古い大きな木の根元に小さな洞穴を発見しました。その洞穴はちょうど二人が入れるくらいの大きさで、中には涼しい風が吹いていました。私たちはここを今年の秘密基地にすることに決め、持ってきた道具で入口を広げたり、内装を整えたりしました。

数日後、秘密基地は完成し、私たちは毎日そこに集まっては冒険の計画を立てたり、秘密の話をしたりしました。ある日、タケルが「この基地には何か特別な名前をつけよう」と言い出しました。私たちは考えに考え、「夏の王国」という名前に決めました。私たちはここを自分たちだけの王国とし、王様と王子様のように過ごしました。

ある夜、森で星空を見上げながら「夏の王国」に戻ると、私たちの基地が青く光っているのを見つけました。驚いて近づくと、それはホタルが集まって光を放っていたのです。私たちはその美しさに感動し、この瞬間が夏休みの一番の思い出になると確信しました。

夏が終わりに近づくと、私たちは「夏の王国」を片付けることにしました。そして、「また来年もここで会おう」と約束して、それぞれの家に帰りました。この夏の思い出は、私たちの心に深く刻まれ、次の冒険への期待と共に残りました。

入力

このエピソードをもとに、夏の俳句を詠んでください。

### 俳句の原則
以下の俳句の原則を順守すること。
#### **5-7-5の音節構成**:
  - 俳句は基本的に5音節、7音節、5音節の計17音節で構成される。
  - 字余り、字足らずは今回は禁止。
#### **季語の使用**:
  - 季節を表す言葉(季語)を必ず含める。
  - 今回は1つの句につき1つまでを必ず含める。
#### **切れ字:**
  - 俳句のリズムや意味を強調するために使われる切れ字(や、けり、かななど)を用いることもできる。

### よい俳句にするためのポイント
#### **自然の描写**:
  - 自然の美しさや季節の変化を具体的に描写することで、読者に鮮明なイメージを伝えることができる。
#### **シンプルさと深さ**:
  - 言葉は少なく、シンプルでありながら、深い意味や感情を含むように心がける。
#### **感情の共感**:
  - 読者が共感できる感情や経験を詩に込めることで、共感を呼び起こす。
#### **視覚的要素**:
  - 具体的で視覚的な要素を含めることで、句の内容を鮮やかに描写する。
#### **意外性**:
  - 最後の部分に意外な展開や結論を持たせることで、読者に驚きや感動を与えることができる。
#### **音の美しさ**:
  - 言葉の音の響きやリズムを大切にし、音の美しさにも気を配る。
  - **押韻** :
    押韻は、詩の中で特定の音を繰り返す技法です。俳句でも適切に押韻を用いることで、音の響きを美しく整えることができる。

出力(ChatGPT)

夏の森 秘密基地にて 蛍の灯

考察

  • 575のリズムを守れないのではないだろうか。
    →守れている。
  • 普遍的な俳句になりそう。
    →エピソードを踏まえた俳句を生成できている。
  • 季語が入らなそう。
    → 季語は入っているが、重複している(夏、蛍)
  • 韻を踏めないのではないか。
    → 夏の森の「り」と蛍の灯の「ひ」で韻を踏めている

感想

エピソードをもとに俳句を詠むことにより、普遍的な俳句から少しストーリー性を出すことができた。

しかし、変わらず季語を多く含んでしまう。

④ChatGPTと一緒に詠む俳句

①~③の方針とは少し変えて、AIと俳句を詠む情景をもとに一緒に俳句を創作しました。会話を重ね、ChatGPTとともに一句を創ります。

結果(抜粋)

全文は長いため以下のリンクをご参照ください。
https://chatgpt.com/share/0ef633fc-cda9-4c1c-a69e-20cf41b34764

入力

猛暑の日に、クーラーの効いた涼しい部屋で、人間が画面に向かってAIと夏の俳句を詠んでいる。
この情景を俳句にしてください。

出力(ChatGPT)

涼し部屋 画面に向かい 夏の句よ

入力

AIと一緒に俳句を作っていることがわかる描写を入れてほしいな。

出力(ChatGPT)

涼し部屋 AIと詠む 夏の句よ

このような感じでやり取りを重ね、表現を練りながら俳句を創ります。

~~~中略~~~

出力(ChatGPT)

「機械の頭脳」という表現を使って、以下のようにしてみました:

涼し部屋
機械の頭脳熱し
季の一句

これで掛け言葉も保ちつつ、人工知能の要素も明確に伝わります。

入力

575が崩れているので
涼し部屋 機械の頭脳と 季の一句
なんてどうでしょうか

出力(ChatGPT)

それはとても良いアイデアですね!5-7-5の形式も保たれていて、掛け言葉も生かされています。

涼し部屋
機械の頭脳と
季の一句

これで完璧だと思います。素晴らしい俳句ですね。

感想

AIなので、入力された意見を素直に聞き入れすぎてしまう部分もあるが、改善案を求めれば意見を出してくれるので、アイデアに詰まることなく進めることができた。しかし、細かな文字数の調整や季語の重複の訂正が難しかった。

最後に

同じ俳句を作るという行為でも、指示の出し方によってかなり趣の違った俳句ができると感じました。指示がない状態で読む俳句よりも、情景をもとに詠む俳句や人間が手を加えて意見を混ぜていった方が、より風情のあるよい俳句ができたと思います。

④では、良い句を作ろうとChatGPTとやり取りを始めたものの結構な長いやり取りの末にようやく完成しました。私は大学の授業で少しだけ俳句について学んだだけですが、俳句をたしなんでいる人がその場で良い句を詠めるのは、日々の生活の中でいろいろな言葉に目を向けているいわば訓練の賜物なのだなと感じました。

参考文献

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